電話アイコン アクセスアイコン メールアイコン 相談アイコン 夜間・休日相談アイコン 閉じるアイコン このページの先頭へ 右矢印 右矢印 右矢印 外部サイト
このページの先頭へ

ご相談はこちら

土曜・夜間相談

事務所から見える和歌山城

コラム

column

  1. ホーム
  2. コラム
  3. AIとの共存??

AIとの共存??

弁護士 岡 正人

 ここ数年、コロナ禍も相まって、裁判手続のIT化が進みました。今では、裁判所に行かなくても事務所のデスクに座ったまま、Teamsというテレビ会議システムを利用して裁判を進行することも可能となりました。私が弁護士登録をした頃は、弁論準備手続(争っている争点を明確化するために開催される手続で、主に、双方代理人の次回までの準備事項を協議する)のために遠方の裁判所に赴き、わずか5分で手続きを終え、その何十倍の時間をかけて帰るということをしていました。それから考えると、まだ20年も経っていないですが、隔世の感です。

 さて、少し前に発表されたものですが、野村総合研究所が10~20年後には日本の労働人口の約49%がAI等で代替可能というレポートを公表しました。これに付随して、AIに奪われかねない仕事が示され、実は弁護士もその中に入っていました。

 確かに、売買契約に基づく代金支払い請求訴訟や賃貸住宅の建物明渡請求訴訟など類型化できる訴訟は、パターン化しており、書式があれば弁護士に依頼しなくても、当事者本人で本人訴訟も可能と思われます。そういう意味では、指摘は間違っていないかなとも感じます。

 ただ、法律が対象としているのは、飽くまで「人」です。例えば、建物明渡し訴訟をとっても、定型的に判決をとることは可能でも、その後の現実の明渡や明け渡した後の相手方の処遇については何の回答も与えてくれません。現実的な対応では、相手方の収入状況などにも鑑み、任意での明け渡し期限の設定や滞納賃料の分割払い(場合によっては放棄)、残存動産の処理など、相手方たる「人」との協議が不可欠になってきます。

 こうした点を踏まえると、AIに奪われる仕事というイメージは、やはり一面的に過ぎず、個々の事件ごと、事案に応じた解決というのは、人でなくてはできないと思っています。

 他方で、ITが苦手な私ですが、弁護士側が発展する技術に追いついていくことも不可欠です。判例検索も書籍の検索もクラウド上のサービスで行っていますし、まだ導入はしていませんが、契約書のチェックをAIで行うサービスも登場しています。

 こうしたものを利用しつつ、より良い法的サービスを提供していくことが、AIに奪われない(負けない)弁護士像なのだと思います。