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カスタマーハラスメントについて

弁護士 岡 正人

ここ数年、カスタマーハラスメント(通称「カスハラ」)が、社会問題化しました。もともとクレーマー対策と呼ばれていたものが、顧客による嫌がらせ(カスハラ)には毅然とした対応をすべきであるとして、対応が求められるようになりました。

クレーマーという表現は文句をつけてくる人といった否定的な意味合いを含みますが、本来、クレームとは直訳すると、主張、要求、苦情といった程度の意味で、クレームの中には不当クレームだけではなく、正当なものも含みます。ですので、クレーム対策としては、とりあえず顧客として扱い、いかにうまく対応するかその心構えやノウハウが中心となっていました。クレーマーに関する書物もいくつか出版はされていましたが、有能なお客様相談室担当者が玄人クレーマーと渡り合う属人的な苦情対応や、有能な営業担当者がワガママな客と付き合う上での営業スキルやマインドなどといった、一個人の能力に頼る内容でした。

ところが、このような個人的な能力では対応しきれず、悲惨な例が発生するようになりました。最近でも、

 

埼玉県の住宅メーカーに勤めていた入社2年目の男性社員(当時24歳)が自殺し、労災認定された。男性社員は2019年4月、埼玉県越谷市に本社がある住宅メーカーに入社し、千葉市内の住宅展示場で勤務していた。男性社員は2020年2月に新築住宅を注文した顧客に追加費用が必要になることを説明したところ、これをきっかけに叱責を受けるようになった。同年8月上旬には取引業者の路上駐車を巡って苦情があり、「そんなんじゃ、銭なんか払えねえぞ」「すいませんで済むか、おめえ」と脅される様子が携帯電話に残されていた。8月下旬に、当時暮らしていた社員寮で自ら命を絶った。

(毎日新聞令和6年7月24日朝刊)

 

というものがありましたし、従業員へ土下座を強要し、土下座した様子を携帯電話で撮影し、SNSにアップしたものが強要罪で逮捕されたという報道(産経ニュース 2015年5月9日)もありました。

こうした状況になると、企業に対しても自らの従業員を守る措置が求められるようになりました。

これを受けて、2022年2月、厚生労働省は「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表し、各企業、各業界の実情に応じたカスタマーハラスメント対策マニュアルの作成を呼びかけました。

昨年頃から、大企業を中心に「カスタマーハラスメントに対する方針」などといったマニュアルの作成・公表が相次いでいます。

現在、カスタマーハラスメントを規制する法律は存在しません。しかしながら、従業員を守り、企業利益を守っていくためには、顧客応対者の個人的スキル頼みでは、もはや持ちこたえられない状況になっています。そのまま放置すると職場環境が悪化して従業員の離職が続いたり、何らの措置を講じなかった企業の責任を追及される恐れもあります。

現代の社会において、粗暴的な行為を含む「理不尽な行為」は許容されていません。

 

この機に、マニュアルの策定、社内体制の整備、従業員への研修の実施等カスハラ対策を取ってみませんか。