コラム
column
養育費の不払いに対する有効な手段について
「先生、相談があります。
離婚の際に、元夫が養育費は必ず支払うと約束して公正証書を作成したのに、3か月間支払われただけで、その後、音信不通となってしまいました。元夫の勤務先や預金口座も分からず、差押えもできません。毎月の生活も苦しいので、どうにかして養育費を支払ってもらう方法はありませんか?」
このように養育費が支払われていない方を救済するべく、民事執行法という法律の改正により(令和2年4月1日より施行)、「第三者からの情報取得手続」という新しい制度ができ、養育費の差押え手続きをスムーズに進めることができるようになりました。
裁判所や公証役場などで養育費について取り決めをしたにもかかわらず、元配偶者が養育費を支払わなかった場合、元配偶者の給与や預貯金などを差押えることができます。
ところが、冒頭のご相談のように、元配偶者の勤務先や預貯金口座が分からない場合、裁判手続き上、勤務先や金融機関の支店名などを調査する手続きはなく、養育費を支払ってもらえないというケースが多くみられました。
今回の民事執行法の改正により、養育費について取り決めた「執行許諾文言付公正証書」「調停調書」「和解調書」「判決書」などの公的書類がある場合、裁判所を通して、①市町村や年金事務所に照会して勤務先情報を取得したり、②金融機関に照会して預貯金情報(支店名、口座番号、残高)を取得することができるようになりました。
このような手続きを利用することにより、これまでに比べて、給与や預貯金などの差押えが容易となり、養育費の不払いを解消できる可能性もあります。これまで泣き寝入りされていた方も、1度検討してみてはいかがでしょうか。