コラム
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体罰によらない子育てのために
2019年6月に成立した児童福祉法等の改正法において、親などによる体罰が許されないものであることが法定化され、2020年4月1日から施行されています。
日本社会においては、「しつけのために子どもを叩くことはやむを得ない」という体罰を容認する意識が未だに残っています。しつけの名のもとに行われる体罰が、徐々にエスカレートし、深刻な虐待などを引き起こす事例も多くみられます。
改正法の施行にあたって、厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」は、体罰を「身体に何らかの苦痛又は不快感を引き起こす行為(罰)」と定義し、「たとえしつけのためだと親が思っても」「どんなに軽いものであっても」体罰に該当すれば法律で禁止するという指針を示しました。そして同検討会は、体罰の例として、殴るなどの暴力だけでなく、長時間正座させることやご飯を与えないことなどを挙げています。
また同検討会は、体罰を法律で禁止する目的は「親を罰したり、追い込むことを意図したものではなく、子育てを社会全体で応援・サポートし、体罰によらない子育てを社会全体で推進する」点にあるとしています。
国際的な動きを見ると、1990年に発効した児童の権利に関する条約に基づき、子どもに対する体罰を法律で禁止している国が多数あり、日本は世界で59番目に、法律で体罰を全面的に禁止した国となりました。
体罰は、子どもの心身の発達などに悪影響を及ぼし、子どもの健やかに成長・発達する権利を侵害するものであることから、必要ありません。
今回の改正法の施行をきっかけに、体罰によらない子育てが社会全体で推進され、子どもの権利が守られる社会の実現を願っています。