コラム
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住民投票条例(案)の否決に思う
本年1月、和歌山市の市民2万人余の請求によるIR誘致に関する住民投票条例制定案が、和歌山市議会で否決されました。
住民投票条例の制定要求は、和歌山市のマリーナシティに、IR事業を誘致する可否につき、その賛否を和歌山市民に問う機会を作ってもらいたいというものでした。よって、IRそのものへの反対を市議会に議決せよと求めたものでは全くありません。にもかかわらず、これを否決したというのでは、住民自治という理念を受入れないということであり、和歌山市議会の見識を疑うものです。
市民が健全に利用するべき場である和歌山市の海岸を、賭博場の設置によって汚すようなことが是か非か、これにつき市民の意見を聞く機会を作ってほしいと要求することは、何らおかしなことではありません。その賛否の意見を聞く機会を作ることすら否定するなどは、民主主義の有り方を知らない者のなすことと言わざるを得ません。うがった見方をすれば、住民投票が実施されれば、IRにノーの民意が示されると判断し、これを回避するために否決に至ったとも評せるものです。
なお、和歌山市長は、この条例案の上程につき、「実施に費用がかかるから反対である」との意見を付したと報じられました。市民にとって重大なことに関し、市民の意見を聞く機会を設けるのに費用がかかるとしても、それは必要不可欠の費用であり、支出を惜しむ対象となるものでは全くありません。いかなることに費用をかけるべきかにつき、根本的な考察を欠いた見解を、自分が住む市の市長が表明したのには、嘆かわしい思いです。
IRの賛否を問う住民投票の実施を封印した和歌山市長や市議会の多数意見は、良識ある和歌山市民にとっては、対外的に恥ずかしい限りです。
今回の和歌山市議会の対応を乗り越え、IR不要の世論が盛り上がって、マリーナシティへの賭博場設置がストップとなることを願うものです。和歌山市が横浜市に続くようでありたいものです。
このコラムの続編は、こちらになります。