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シーズン開幕に寄せて

弁護士 浅野喜彦

 今シーズンの阪神タイガースは、15年ぶりに、岡田彰布氏を監督に迎えました。私は阪神ファンというわけではありませんが、関西で育ったので、毎年このチームを応援しています。岡田氏といえば、彼が前回監督をしていたときに、どういうわけか強く印象に残ったシーズンがあるので、今回はそれについて書きたいと思います。

 その年は、阪神タイガースが優勝を期待されたシーズンでしたが、春先からいまひとつ精彩を欠き、不満の募る展開でした。9月に入ったあたりで、かろうじて2位ではありましたが、首位の中日と7~8ゲーム差があったように思います。

 しかし、ここから、阪神が粘りを見せました。急に強くなったというわけではないのですが、僅差の試合を継投でしぶとく拾うようになり、中日とのゲーム差が少しずつ縮まっていきます。記憶が定かではありませんが、シーズンも残り数試合となった段階では、2ゲーム差くらいまで詰め寄っていたと思います。

 その日の試合は、甲子園でのナイトゲームでした。相手はヤクルトか巨人だったと思いますが、よく覚えていません。他球場の中日が先に勝っていたため、阪神としては負ければ苦しくなる試合でしたが、例によって試合は接戦となり、延長戦に入りました。10回表に登板した阪神のピッチャーは、中継ぎの主軸であった久保田智之です。そして彼は、集中打を浴びて4点を失い、大勢が決したのでした。

 私は、翌朝の新聞で、この時の阪神ファンの反応を知りました。勝負どころで大量失点を喫した救援投手は、普段であれば壮絶な罵声を浴びることになるのですが、この日、4点を取られた久保田に対し、客席からは「久保田がんばれ。」「泣くな、久保田。」の大コールが起こったといいます。甲子園の観客たちは、この時点で優勝に見切りをつける一方、シーズン終盤に選手たちが見せた粘りと、中継ぎ投手陣の奮闘をねぎらっていたのでしょう。阪神ファンという人たちは一見短絡的なイメージがありますが、見るべきところはしっかり見ていて、粋なことをするものです。私自身はこの記事を読んで、なぜか心が暖まるような、世の中捨てたものではないというような、そういう気持になりました。

 ここ数年のタイガースは、戦力面ではいつ優勝してもおかしくないのに、いまひとつ覇気が感じられないと言われているようです。新しい監督のもとで、今年はどんなシーズンになるのでしょうか。負けても拍手が起こるような熱戦を期待しています。

 もちろん、優勝してくれれば、それに越したことはないのですが。

以上