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オンラインによる訴訟手続きの進行に思う

弁護士 岡本 浩

 訴訟手続きがオンラインによって進められることが加速されている状況にあります。「オンライン裁判」なんてと思っていた私なども、否応なく、この流れに組み込まれていっているように感じています。今のところ、この手続によって進行している訴訟案件は、私の場合で、担当事件の2割弱といったところです。しかし、これから開始される新件が次々とオンライン手続となっていくと予想され、半年もすれば手持ち事件の半数近くがオンライン裁判となっているかもしれません。

 

 従前は、裁判所に出頭し、提出した書面の陳述や口頭での説明と次回期日に向けての準備作業の確認等を行っていたものです。これに対し、オンライン裁判の手続は、裁判所に出頭せずパソコンの画面を通じて裁判官や相手方弁護士とやり取りをし、その日の期日を終了するものです。このような処理により双方が合意に至れば、和解調書の作成に至るまで、一度も裁判所に出向くことなく事件を終了することも可能です。現に、大阪地方裁判所に係属した被告事件を担当したところ、パソコン画面上での3回の期日を経て、一度も裁判所に出向くことなく和解で事件が終了しました。大阪地方裁判へ出頭すれば、少なくとも3~4時間の時間を要するところ、これが3回分にわたり省略できたのですから、時間の節約という意味では絶大な効果を得たこととなります。かつては、相手方の書面を受取り次回期日を決めるだけといったほんの数分のために、遠方の裁判所へ足を運ぶことも多々だったのですから、このような時間の節約は隔世の感があるものです。

 

 とは言っても、担当裁判官や相手方弁護士と一度も直に接することなく事件が終了まで行ってしまうことには、「こんなことで良いのか」との思いが残らないでもありません。今のところ、証人調べや本人尋問といったようなことをオンラインで行ったことはありませんが、将来的には、このようなことにも直面することになるかと思われます。しかしながら、直に証人や相手方本人の表情・しぐさ等を見ることが困難な条件下で、充分な尋問、とりわけ反対尋問が可能なのか、疑問の残るところではあります。私としては、当該事件の重要な決め手となるような協議の際や尋問手続については、オンラインでなく、実際に裁判所へ出頭して進める手続の必要を主張しようと思っています。

 

 余談。従前は、出張の道中の車窓風景に接することや出張先での昼食等が、ある意味で多忙な日常からのストレス解放タイムであった面がありました。訴訟手続きのオンライン化がさらに進み、裁判所まで出向くことが殆どなくなり、事務所でパソコンの画面をながめることが弁護士の仕事の中心となってしまうようなことに至れば、弁護士業務のストレスが過大になってしまうのではないかなどと懸念されます。業務をストレスなく生き生きと遂行していくためには、動的な面も大切であり、これをどのように確保していくのか、これがこれからの弁護士業の課題の一つとなってくるように思われる近況です。