コラム
column
玄武洞公園を訪ねて
今夏、小学校2年生の孫との二人旅で、兵庫県豊岡市にある玄武洞公園を訪ねた。玄武洞は国指定の天然記念物であり、JR山陰本線の車窓からも垣間見ることができることから、その名はかなり知られている名所である。但し、交通の便が良くないことや、必ずしも一般受けする観光名所と言えないものであることから、実際に訪問する人はそんなに多くない観光場所である。私も、大学生の頃に、京都駅より山陰本線に乗って山陰海岸から松江方面や萩に旅行をした際、列車の車窓から玄武洞を垣間見たのみで、実際には訪ねたことがなかった。
今回、京都在住の孫が、石に興味があるとのことなので、それなら併設されている玄武洞ミュージアム内に各種の石を展示する博物館があるという玄武洞に連れて行ってやろうということとなり、今回の旅となったものである。
玄武洞は、火山噴火による溶岩が冷えて固まる際に六角形に割れ、それが規律正しく並んでいる状態が、石の採掘や自然の地形崩壊により、その状況が見事に露出している状態の洞窟の呼称である。実際に訪問して、その柱状節理の見事な様相・美しさには、感嘆すると共に自然の力や雄大さに驚くばかりであった(写真参照)。
なお、以下の2点は、今回の訪問で、初めて学んだことである。
① 六角形の柱状節理を形成する溶岩の冷えた石を、「玄武岩」と呼ぶのは、この玄武洞を由来とするもので あること
② 巨大な磁石である地球において、その磁場が長年月のうちに反転するものであることの発見が、一人の科学者によるこの玄武洞の石の分析より解明されたこと
小学校2年生の石への興味に導かれ、私自身も新しい知へ導かれた今夏の旅の収穫である。
なお、上記②の発見者は、その発見の発表が学会より無視され続け、当人の死後に、この発見の正しさが認められたという歴史もあったとのことである。この点で、美しく整った柱状節理の岩壁を見ながら、先人の途の険しさを実感させられた思いでもあった。