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髪型の自由 ~そろそろ生徒の自由意思にゆだねませんか~

弁護士 森 亮介

「生まれつき髪の色が茶色いのに、黒染めを強要された。」「地毛証明書を出す理由を教えて?」「どうして髪が肩についたら結ばないといけないの?」「学生らしい髪型って具体的にどういった髪型なの?」など、髪型に関する校則については、生徒による疑問の声があり、校則の在り方について議論されてきました。

髪型を選択・決定する自由は、自己決定権・幸福追求権として、憲法上保障されると解されます(憲法13条)。

ところが、現在も多くの学校で、髪型に関する校則が存在します。「風紀管理の都合」「勉学の集中優先」などが、髪型を規制する理由とされているようです。果たして、髪型を生徒自身にゆだねたら、風紀が乱れ、生徒の学力は低下するのでしょうか。茶髪も私服もOKという学校のなかには、生徒の自主性や学力が高く、入学志願者が増加している学校があります。自由な環境であるからこそ、生徒が自分で考え、自分で決断・行動し、その結果の責任は自分でとるということを、学んでいくことができると考えます。

また、親が外国の方で、地毛が黒髪でなかったりする子や、自身のルーツの伝統的髪型があったりする子、髪を肩まで伸ばしたい子など、学校内には多様な子がいます。そのような中で、

①男子生徒が肩まで髪の毛を伸ばしていたところ、授業への参加を禁止された

②髪を整える意味で自身のルーツでもあるアフリカの伝統的髪型(コーンロウ)にしたところ、卒業式で他の生徒と隔離されるなどの差別的対応を受けた

などということがあったようで、驚くばかりです。多様性やLGBTQの存在などを認め合う社会の実現が求められるなか、学校内で、違いや個性を認めず多様性を一律に縛るのは、時代錯誤ではないでしょうか。

特に、私が意味不明だと思ったのが「ツーブロック禁止!」。2020年の東京都議会おいて、都議会議員と教育委員会教育長との間で、以下のやりとりがあったようです。

 議員:「なぜ、ツーブロックはだめなんでしょうか?」

 教育長:「外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます」。

???

このように、教育長が、ツーブロックを禁止する明確な理由を回答できず、曖昧な発言を行っていること自体、もはやツーブロックを禁止する合理的な理由がないことを示しているのではないでしょうか。なお、2022年4月から、すべての東京都立学校で、「地毛を一律に黒色に染色」、「ツーブロックを禁止する指導」について、校則から廃止となっているようです。

現役教員400名のアンケート(2019年実施)においても、7割が「髪型校則に疑問を感じたことがある」、9割が「時代に合わせて、髪型に関する校則も変わっていくべき」と回答しているようです。校則が厳しい学校は、先生方もその校則によって統制されます。髪型・服装のチェックや指導などに労力を要して疲弊し、教育の本質に関わる業務に支障が生じてしまっては、本末転倒です。生徒も、髪型を自身で選択・決定することにより、自分らしくいることができ、いきいきと学校生活を過ごすことができるはずです。

そろそろ、髪型について、校則による禁止を解き、生徒自身の自由意思にゆだねてもいいのではないでしょうか。